From Europe Vol.6 Surf Point, Portugal

From Europe Vol.6 Surf Point, Portugal

 

ポルトガルへサーフィンしにいく人、次のバカンス先の候補地にリストアップする人、行ったら好きになってフランスに帰ってくる人…。

ビアリッツに住み始めてから6年ほどが経過したが、ここ2−3年の間、まわりの友人知人がこぞってポルトガルに行っている、もしくは興味を巡らせている。

フランス南西部のサーファーにとって、ちょっとサーフトリップで外国へという場合はモロッコが主流だった。もちろんモロッコに行く人は今でもいるが、その数は減り、それに代わるようにしてポルトガルが台頭してきたような流れだ。正確な数を取っていないので、あくまで体感的なものだが。

ポルトガルラッシュが始まった?

フレンチサーファーにとってポルトガルはエアポケット的な存在だったように思われる。波はいいが、水温が低い。それがネックで、ポルトガルに比べれば水温はまだ高く、波もよく、そして歴史的背景から関係が強く、フランス語も通じるモロッコを選んでいたのだろう。しかし言葉は通じてもモロッコはアフリカ大陸の一部で宗教、文化はフランスのそれと違う。そのおかげで旅に出たという感覚は、陸続きのポルトガルより簡単に感じられる。ただし、今はその宗教問題から発せられる治安問題に警戒する人が増えた。そこで今まではスルーしてきたポルトガルにフレンチサーファーが注目し始めたのだ。そう考察するが、これはどちらかというとネガティブな事柄からによる。それでは人気は続かない。リピートしたい人がいるのは何か魅力があるはずだ。

サーファーにとってポルトガルはどんな土地なのだろう。その疑問を持ち、この3月に実際ポルトガルへと行ってみた。

フランスから近いけど遠かったポルトガル。サーフの視点からみてみたい。

旅の期間は約2週間。リスボンでクルマを借り、ポルトガルの海沿いを走り続けることにした。北は冬のビッグウェーブで有名なナザレ、南はポルトガルの最南西端のサグレスまで。その間に様々なポイントに立ち寄ったが、もしナザレとサグレスを直接移動したとする。地図アプリで検索すると距離にして500km弱。時間にして4時間ほど(リスボン近郊の通勤ラッシュをのぞけば、ポルトガルは日本より高速の上限速度が高いため、速く走れる)。そのルートは実際には走っていないが、旅の経験から数値は適正といえる。日本の場合で例えると、距離は違うが時間なら東京—名古屋間。何を言いたいかというと、ポルトガルは南北には長いが小さな国。事前に聞いていた通り、短期間でもいろいろ走り回れた。

しかし残念なことに天気に恵まれなかった。期間中、晴れた日は3-4日程度。それどころか嵐までやってきて、大シケの日が続いたことも。これはポルトガルにとっても異常気象だったそう。だがこの冬場は雨がほとんど降らず、水不足に陥る危険性があったそうで、ポルトガルにとっては恵みの雨といえる。そのせいで海にはあまり入れず、晴れていても強風で面はグシャグシャと、ローカル曰くポルトガル本来の魅力は全く発揮されていないらしいが(苦笑)、それでもこの間に見たポルトガルの海について、各地、各エリアの写真とともに軽く触れていきたい。

リスボン近郊と、南西コーストでは雰囲気が全く違う

■ Ericeira エリセイラ

リスボンより北に向かいクルマで1時間弱。小さな漁師町。30分歩けば、町の地理はある程度把握できる。滞在したときは嵐が到来し、強風&海は大荒れ。外に出るのもままならなかったが、一瞬の晴れ間をついて散策したときの風景は別格。通りはスクラップ&ビルドの最中。これから変貌を遂げていく予感大。国道沿いにはクイックシルバーのポルトガル初となるフラッグシップストア、Boardriders Ericeiraがあり、巨大なスケートパークが完備。カルチャーの香りが嗅ぎ取れた。

エリセイラ

エリセイラの街

Boardriders Ericeira

 

■ Penich ペニシュ

エリセイラを起点に約60km、クルマで1時間ほど北上した岬。3面を海に囲まれ「365日中360日波がある」とはローカル談。WCTの会場もこちら。自分が訪れたときはBaleal(バレアル)というポイントで運良く入水できた。水は覚悟していたより冷たくなく、3×4mmのウエットでOK。個人的にはここ近年で一番いい波に乗れた。海の中では英語をよく耳にし、スクールも英語で何クラスか開催されていた。夕方小さなスーパーに寄ったところ、あるグループが店頭テラスでビールを飲んでいた。肌寒い曇り空のもと、彼らの陽気な雰囲気が印象に残ったが、それはイタリア人グループだった。スクールの先生によると「ペニシュに来るサーファーは多国籍だが昨年はイタリア人が増えた」。近隣情報として、すぐ近くにObidos(オビドス)という城壁に囲まれた古い村があり、観光が楽しめる。またそのエリアはワイン産地でもある。

ペニシュ

ペニシュをドライブ

ペニシュ  オビドス

 

■ Nazare ナザレ

ペニシュからさらに北上、クルマで1時間。名物のビッグウェーブを期待したが、凄まじい強風のためシケっていた。波のサイズは3−4mほど。しかし驚いたことに「大波の名所」を一目見ようと、サーファー以外の観光客がいっぱい詰めかけていた。岬に通じる道はクルマで渋滞し、少し離れたところにある駐車場には大型バスが何台も停車。後から聞いた話だと「冬の日曜日は一般の観光客でも混雑」。ナザレの冬の大波は、もはやサーファーだけのものではない。
近隣情報として、ナザレ近辺にはカステラの原型となったPao de lo (パオ・デ・ロ)の人気店がある。中身が半熟状態でユニークなテクスチャーはペロッと食べられる。素朴な甘さが後を引く。潮風にあたって疲れた身体に効果的。

ナザレ ビッグウェーブに期待

ナザレ

ナザレ Pao de lo

 

■ Cascais カスカイス

リスボンの隣、通勤ラッシュの時間帯を避ければリスボンからクルマで西に30分ほどと、リスボンサーファーのお膝元。(もう一方は運河を挟んだ向かい、Costa da caparicaからCabo Espichelまで約25kmに続く海岸線)うねりと風の向きによって、岬をはさみ湾側か、大西洋側かでポイントを選べる。岬の内側は港になっていて、その港寄りのビーチでインサイドの波を数名のサーファーが乗り合っていた。ローカルによれば「夏は内側は波がなく、大西洋側のGuincho (ギンチョ)というポイントのみがヒット」。カスカイスは海に沿って国道が通り、電車も並走。駅からは波が見える。坂道が多く、キャリア付きの自転車にボードを乗せ、ウエット姿でペダルを漕ぐサーファーの姿を目にした。どこか湘南を思わせる。リゾート地であり高級住宅街である。

カスカイス

カスカイスをドライブ

カスカイスの街並み

 

■ Algarve アルガーヴ

ポルトガルの最西南端岬、Sagres(サグレス)を起点に大西洋側を西海岸、その内側を南海岸と呼ぶようだ。このエリアの海岸線は自然保護地域となっているため、基本的には国道が1本近くを通るのみ。各ビーチへアクセスするには国道と結ばれているローカル道、たいていは信号のない道を行かないと辿り着けない。地図上でみるとポイントは隣同士でも、実際には一度国道に出る必要があるため、ポイント間の移動に時間を要する。波を当てたいなら事前情報の精度が他エリアより重要と感じた。今回5−6カ所のポイントを訪れた。それぞれ特徴は違うが、このエリア全体でいえることがある。それは切り立った崖に囲まれてビーチ、ポイントが存在すること。ゆえにワイルドで自然のパワフルなエネルギーがある。そしてポイント近くの駐車場にはバンや、キャンピングカーが多数停車。ちょっとしたバンの見本市会場になるぐらいだ。ただそういったクルマはほぼポルトガル以外のナンバー。多いのはドイツや、オランダなど北ヨーロッパ圏。駐車場で耳にする言語も英語が多く、北ヨーロッパ人たちがアルガーヴでコミュニティを形成しているよう。前の世代のヒッピー文化をなぞっているような。フランスナンバーのクルマもあったが全体でみると少数。ポルトガルナンバーも人もいたが、ビーチ周辺にいる数でいえば北ヨーロッパ人の方が多いように感じた。

アルガーヴのワイルドな自然

アルガーヴをドライブ

アルガーヴ 車

 

フレンチによるポルトガルラッシュを予測して行ってみたものの、実際そこで目にした多くは北ヨーロピアン。特に自然が保護された、美しいアルガーヴ地方になるとその傾向は顕著。それは今回の旅の発見でもあった。反対にローカルであるポルトガル人サーファーをあまり目にしなかったのはなぜか。2週間も海沿いにいたくせに、ポルトガル人サーファーとは? と聞かれたら正直答えに窮する。コンディションのせいか、時期の問題か、それともただ見落としているだけなのか…。

波乗り天国。しかしローカルの姿はどこ? 現地で生じた新たな疑問

2週間のうち数回した入水できなかったにも関わらず、ポルトガルはサーファーにとって魅力的な国というのがわかった。様々なタイプのビーチ、波が多数にあり、ポイントの選択肢が豊富。個人的にもその数回の中で“自分の波”に出会えたことが大きい。感覚なので説明が難しいが、“自分の波”にはフランスでも、もとい日本でも出会って来ることができなかった気がする(個人差大)。ポルトガルには入り込む隙間がどこかしらある。確かに水温は高くないが、魅力的なサーフデスティネーションだ。

ポルトガルサーファー

それをもってしてこの旅をまとめることもできるが、行ったことで新たな興味、疑問が生じた。それはポルトガル人サーファーについて。いるはずなのに目立たない。サンプル数が少なく、あるだろうポルトガルサーファーのスタイルを、ビジュアルで感じるところまで辿り着けなかった。そこでその興味や疑問を数少ないが、出会えたローカルサーファーのうち、あるグループにぶつけさせてもらった。もう少しお付き合い願いたい。

 

Written by Michiko Nagashima
Thu, 21 June, 2018