Keep paddling Vol.4 カルチャーと文化

Keep paddling Vol.4 カルチャーと文化

 
この秋、2週間ほど、各ブランドとのミーティングのため、そして、新しいブランドの方々と接するためにビアリッツ〜サン・セバスティアンに訪れた。その旅の帰り道に少しだけ立ち寄った、村上春樹が滞在し「ノルウェイの森」を書いた場所でもあるらしい、この最終地の夕暮れ時にて原稿を書いてみる。

そんな自分に酔うためでもある。恥笑

いささか仰々しいタイトル。
今回の旅で、「Keep paddling、続けた先にあるものってなんだろう?」という自分への問いに対して、最も感じたのが、やはりカルチャーと文化だった。

その土地ごとに感じるカルチャーと文化。

文化よりももう少し角を取ってライフスタイルに落ちていて、
独自の「色」を発しているのがカルチャー。

文明や国、言語をベースにした民族の独自性が文化。

という風に自分で勝手に解釈している。

ビアリッツのコート・デ・バスクでは「カルチャー」を強く感じた。

ビアリッツ 人気サーフスポット

そこには時間を経て築かれてきた確かなコミュニティと、人々の本当に楽しそうに語らい合う様子、女性1人で海上がりにリラックスする様子、子供と一緒に家族でただただ海を眺めている様子、海の上での譲り合い微笑み合う様子が確かに存在していた。宿泊したアパートメントも、この地でサーフを始めた先駆者の1人が家族で経営しているというだけあって、至る所に居心地のよさがある。
 
ヨーロッパでのサーフィン

フランスだからなのか、はたまた、この街の素朴な魅力が醸し出すからなのか、コート・デ・バスクは、総じてゆったりとエレガントな息づかいを感じた。

この地のシンボルのお城みたいな家をバックに、見事なまでにトロトロに溶けそうなオイリーな夕陽の中、偶然にもローカルの人々に欧州のジョエル・チューダーと言われるクロヴィス・ドニゼッティと海を共にしたあの贅沢な時間は一生の思い出。

夕陽を背に目の前で美しいノーズライディングをする彼の姿も、
またエレガントであった。

この柔らかくてエレガントな空気感こそが、この街のカルチャーなのであろう。

サンセバスチャン
 
一方のサン・セバスティアン。

スペイン カタルーニャ

サーフカルチャーはもちろんであるが、それ以上に強く感じたのは料理人たちがオープンソースの概念で築き上げてきた世界一と言われる美食のカルチャー。
そして、何よりカルチャーではなく、バスクの「文化」である。

政治的なことを書くつもりはあまりないが、触れずにはいられない。
それほどこの街で過ごす中で強く感じた。

太平洋のピスケー湾に面するバスク地方。
バスク語の標識も掲げられ、緑と赤のバスク旗もチラホラ。
ふらっと立ち寄った隣町:サラウツの本屋で挨拶を覚えようと「バスク語—英語」の辞書も買ってみた。
スペイン語やフランス語とも全く違う言語で素直に驚いた。
(ラテン語ベースのイタリア語やスペイン語、ポルトガル語などはどことなく似ているケースが多かったから余計に)

なぜ、彼らは自治を望み、なぜスペイン中央政府はそれを拒否するのか。
ふと、考えてみた。

サン・セバスティアンもサラウツも、
そして元々はバスク地方であるビアリッツも。
振り返ってみると、本当に「豊か」という一言に尽きる。

パリに比べて圧倒的に温暖な気候。
海から抜ける風のここちよさ。
海からも山からも届けられる豊富な食の幸。
豊富な観光資源が故に安定する経済性。
安定的な経済性がもたらす治安のよさ。
治安のよさがもたらす行き交う人々の笑顔。
笑顔がもたらすゆるやかな空気。

バルホッピング スペイン

この生活で、住んでいる俺たちは十分に幸せだから、
自分たちだけでやらせてよ、というのが彼らの本音。

いいなあ、自分たちだけ豊かな生活していて。
俺たちにもその恩恵少しわけてよ、というのが中央政府の本音。

古代ギリシャ文明期から続く争い。
要因はほとんど同じようなところにある。

難しい問題だ。。

続いている、という点では、
争いも人間のカルチャー/文化なのかもしれない。
残念ではあるが。
 
カタルーニャ独立問題

多くの人々が、日々の生活を重ね、大切に営みを続けてきたからこそ築かれたカルチャー/文化。それを続けていくことがそこに生きる人たちの人生だし、それを決して第三者が壊してはいけない。それはどの文明期を辿っても同じであろう。

さて、翻って、日本はちょうど衆院選。
どういう視座で、何を想い願って、投票するべきか。

欧州の旅で少しヒントをもらったような気がした。
日本のために、続けるべきは、何なのか、と。

Keep paddling,

 

Written by Syunsuke Kimura
Thu, 19 October, 2017