Laid-back vol3 パブとビスポーク

Laid-back vol3 パブとビスポーク

 

柄にもなく「アフタヌーンティー」とやらを楽しもうと思った事がそもそもの間違いだったのかもしれない。あるいは、向かいの劇場で演じられていたハリーポッターの悪戯か。

とにかく僕は当初の目的を達することなく、グリークストリートのパブで3paintのビールを片手に、決して美味しくはないサンドイッチをほうばっていた。こうなるともう後はどうでも良くなってきて、結局は食後にウィスキーのストレートを注文し、店の前にいたネコに見送られながら午後の街へ。ほろ酔いのロンドンも悪くない。そもそもこの街では酔っ払っているべきだとさえ思えてくる。(決してそんなことはないのだが)

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そんな事を考えながら歩いていると、すぐに目的地のセヴィルロウに到着。「背広」の語源となったとも言われているこのあたりのビスポークはとても魅力的だ。サーフィンに例えると、一つの海岸に気のきいたポイントがいくつも並んでいるようなもので、それぞれの店に個性とプライドが充溢している。

あるビスポークではこんなことがあった。僕が店主とコートの丈と色について議論をしている時(それはとても白熱し、フィッシュ&チップスに使用する魚の種類について議論する英国紳士達のようでもあった)裕福そうな中国人夫婦が多数の商品を持ってやってきた「先にこちらを会計してくれ」と。それに対し店主は静かにこう言ったのだ「私は今、この紳士と大切な話をしている、それが終わらない限り他のお客様の接客はできない」と。

これこそがオーセンティックなビスポークなのだ。結局僕は、彼のアドバイスに従い最もオーソドックスなタイプのコートを買って店を後にした。(フィッシュ&チップスで言えばコッドになる)その後、ハンドメイドのブーツをピックアップし、ホテルへ。

アフタヌーンティーは飲めなかったが、現在のロンドンを象徴するようなとても素敵な一日だった。

 
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Written by Tsuyoshi Tahara
Mon, 25 September, 2017